第45回広島県神楽競演大会 演目紹介
9時10分〜9時30分四方祓上河内神楽団安芸高田市(美土里町)
9時35分〜10時10分塵倫筏津神楽団北広島町(筏津)
この国に悪災を与える塵倫という鬼は、背中に翼を持ち、天空を自由自在に駆け巡ることが出来ました。しかも、神通力を駆使し、戦術にも長けたこの鬼は、数万騎の軍勢を従え、庶民を大いに苦しめました。
そこで時の
帝、仲哀天皇は、不思議な霊力を発揮するという弓矢を武器に、この恐るべき敵に戦いを挑んで、見事撃退するという物語です。
10時45分〜11時20分鶴ケ岡桑田天使神楽団安芸高田市(美土里町)
建保年間、鎌倉幕府二代将軍、源頼家亡き後、弟の実朝が左近衛大将・内大臣に昇進し、右大臣となりました。実朝は叔父の北条義時とともに、就任の報告を兼ねて鶴岡八幡富に参拝します。
その道中、頼家の遺児、源公暁(実朝のおい)が合流して、ともに参拝に向かうことになります。
公暁は父の死を実朝の策略と思い込んでおり、「親の仇はこのように討つのだ」と叫びながら遂に実朝を討ちます。
事態を重く見た義時は公暁征伐を決意し、大江広元と一緒に追いかけます。公暁はさんざん刃向かいますが、最後には討ちとられます。
11時27分〜12時02分戻り橋高井神楽団広島市佐伯区(八幡東)
大江山に住む鬼、酒呑童子の配下である茨木童子は、美女に姿を変え、夜な夜な都は堀川一条戻り橋辺りに出没し、人々に災いをなしておりました。
そこで源頼光は、四天王と呼ばれる家来の一人渡辺綱に茨木童子を成敗するように命じます。茨木童子は、妖術を巧みに使い、襲い掛かり戦いますが、渡辺綱に左腕を切り落とされ大江山へと逃げ去っていきました。
茨木童子の話を聞いた酒呑童子は、子分可愛さの念にひかれ、渡辺綱の乳母白妙になりすまし言葉巧みに腕を取り返し、茨木童子に腕をもみつけます。
それに気づいた渡辺綱は、主君頼光の助けを得て、酒呑童子と戦いますが、酒呑童子は虚空飛天の妖術をもって大江山へと飛び去っていきます。
12時09分〜12時44分新編伊吹山上河内神楽団安芸高田市(美土里町)
「日本武尊」「草薙の剣」に続く日本武尊シリーズの完結編です。
東国平定の旅の途中、日本武尊一行は相模の国走水で海わだつみ神の怒りに触れ海難に遭います。その時妻の弟橘姫は海神の怒りを鎮めるため入水し一行は難を逃れます。その後東国を平定し大和へ向かう日本武尊に、近江の国伊吹山の大鬼神を成敗せよと勅命が下されます。
度重なる戦に疲れ果てた尊は気力を振り絞り大鬼神に立ち向かいますが、大鬼神の毒牙に触れて危機を迎えます。
その時、弟橘姫の神霊が現れ一命を助けます。神霊の加護により見事に大鬼神を成敗しますが、毒牙に触れた尊は弟橘姫の先導により昇天し、二人は永久の契りを結ぶという物語です。
13時00分〜13時35分羅生門広島新庄高等学校郷土芸能同好会北広島町(新庄)
平安中期、大江山に住む鬼、酒呑童子の配下である茨木童子は、夜な夜な一条戻り橋に現れては悪行の数々を重ねていた。時の武将源頼光は四天王の一人渡辺綱に鎮圧を命じ、綱は茨木童子の左の腕を切り落とすが、あと一歩のところで取り逃がしてしまう。
切り取られた茨木童子の腕を取り返すべく酒呑童子は綱の乳母白妙に化身し、綱の館へと入り込むことに成功する。そして茨木童子の左腕を見つけ、渡辺綱との戦いが始まる。酒呑童子の妖術の前に綱は倒れるが、「綱危うし」という石清水八幡のお告げを受けた頼光が助太刀に入り、再び戦いとなるも酒呑童子は虚空飛天の妖術をもって大江山へと逃げ去ってしまう。なお、この後、頼光は勅命を受け、酒呑童子退治に大江山へと向かうことになり、この『羅生門』は『大江山』の前段の物語である。
13時42分〜14時17分矢旗三谷神楽団安芸太田町(中筒賀)
この神楽は、正行(台詞)により第15代応神天皇(誉田別命)を八幡神として英雄化するために創作されたものということが推察される。
大和の西国(豊国の宮)にて、天界から降臨した白旗・矢旗の二神が主人公。天照大神から賜った詔を受けて、四方の国を統治すべく勅命され、伊勢神宮の祭神のお告げもあり、母の胎内にありし頃より異国へと赴き、その国を服従させようとしたが、わが国に支障をきたすに至り、反して従わず、兵士たちが筑紫に来て災難を与えるので、これらを降伏させるため、天照大神のご神徳と、弓矢の威徳を持って退治するという物語です。
14時24分〜14時59分紅葉狩大塚神楽団北広島町(大塚)
狩野の旅にでた平維茂は、道に迷い信州戸隠山に入り、紅葉狩の酒宴を開き待ち受ける戸隠山の鬼女たちに誘われます。酒宴の酒に酔い伏した維茂の一命失うとなったとき、日頃信心する八幡大菩薩が降臨し救われます。
一命を救われた維茂は授かった神剣をもって、めでたく鬼女を征伐します。
15時06分〜15時41分鍾馗川北神楽団安芸太田町(加計)
「鍾馗」は石見神楽の中では最も貴ばれ、重い演目の一つです。この神楽は、日の神の弟 素戔嗚尊と備後風土記に出てくる茅の輪の伝説、それに謡曲 鍾馗とを合体させたものといわれています。
素戔嗚尊が唐の国にいた時、鍾馗大神と名乗り「虚耗」という悪疫神を退治いたしました。しかし、その一族の残党が我が国に渡来し、大疫神となり人々を悩ましているので、鍾馗大神が茅の輪の威徳をもってこれを退治するというお話です。鍾馗大神は左手に茅の輪、右手に矛を持って舞い、茅の輪によって、魔術で身を隠している疫神の姿を探り、格闘の末これを征伐するのです。茅の輪は、これを潜れば疫病からのがれることができると云う伝説にもとづき、茅の輪くぐりの祭事が今でも続けられている神社があり、災疫の護り神として信仰され祭られています。
15時48分〜16時23分葛城山横田神楽団安芸高田市(美土里町)
大和国葛城山に年古く住む土蜘蛛の精魂は、国を我が意のままにせんと計り、先ず当時都で武勇の誉れ高い源頼光を亡きものにせんと機をうかがいます。時良く頼光の侍女胡蝶が典薬頭より薬を持ち帰ることを知るとすぐさま彼女を襲い、その胡蝶になり替わって頼光に近づき、頼光に毒薬を飲ませて命を狙います。頼光が源家の宝刀膝丸の太刀で防戦すると、手傷を負った土蜘蛛の精魂は葛城山へと逃げ去りました。
危うく難を逃れた頼光は、この太刀を蜘蛛丸と命名し、四天王碓井貞光・卜部季武に授けて葛城山に向かわせます。
貞光・季武の両名は激闘の末めでたく土蜘蛛の精魂を成敗するという物語です。
16時30分〜17時05分滝夜叉姫東山神楽団北広島町(石井谷)
天慶の乱で、父 平将門を討たれた五月姫が、父の仇を討たんと、平貞盛・藤原秀郷の命を奪うべく都に出て機会を待つが、目的を果たせず、神力にすがるべく貴船の社に七日七夜の願をかけ、満願の夜 、ついに妖術を授かる。そして名を滝夜叉姫と変え、下総は猿島の地に帰り、手下を従え近郷に仇をなす。その噂が中央に聞こえ大宅中将光圀が勅命を受け、関東に下り陰陽の術をもって成敗する物語である。
17時12分〜17時47分大江山龍南神楽団北広島町(都志見)
一条天皇の御代、丹波の国大江山に酒呑童子という悪鬼が、多くの手下を従えて立て籠もり、都はもとより付近一帯の村里に出没し領民を苦しめるので、時の帝は当時、都の警備に当っていた武勇の誉れ高い源頼光などにお命じになり、これを征伐せられることになった。そこでその任を仰せつかった源頼光は、渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武など四天王の面々と、山伏修験者に変装して大江山に向かう。当神楽では源 頼光と坂田金時で登場。途中、日ごろ信心厚い住吉大明神に祈願の為立ち寄り、徳のある御神酒を授かり、山中にて都より浚さらわれた紅葉姫に出会い岩屋に案内をさせて酒呑童子と酒宴をはかり、油断に乗じてこれを鎮圧する。