第50回広島県神楽競演大会 演目紹介
9時10分〜9時30分四方祓い津浪神楽団安芸太田町(津浪)
9時55分〜10時30分吾妻山横田神楽団安芸高田市(美土里町)
源頼光から陸奥探索の命を受けたト部季武は、無事主命をはたし、妻五月姫と共に越後の国へと向かいます。
一方、阿闍利祐慶のため、安達ヶ原の黒塚を追われた妖鬼は信夫山に宿りを定め、宿の女主に化生して、黒雲・赤雲両名の手下を従え、山に入り来る者を引捕らえては取り食らうことを生業
としていました。
信夫山にさしかかった季武の一行は山家の灯りを見つけると、旅に疲れた妻を女主に託して越後に向かいました。しかし、まだ日も落ちぬ中での流れ星に不吉な予感を覚え、急いで妻の元へ
と引き返します。しかし、「休む間もなくここを発たれました」という女主を怪しんだ季武が問いつめと、ついに妖鬼は正体を現しました。戦いの末、無事五月姫を助出した季武は、妻を危難に遭わせたことを悔やみ、この山を吾妻山と名付け、一生の教訓としたという物語です。
10時37分〜11時12分羅生門高井神楽団広島市佐伯区(八幡東)
渡辺綱は、主君の命を受け、戻り橋辺りに鬼人征伐に向かいます。 茨木童子の左腕を切り落と
した渡辺綱は、事の次第を報告する為に源頼光の館へ向かいました。 そして源頼光より物忌みを命じられ、災いが起きないように茨木童子の左の腕を誰にも見せないようにと伝えました。
その頃、大江山に逃げ帰った 茨木童子の話を聞いた酒呑童子は、茨木童子の左腕を取り返す為、一計を案じます。 酒呑童子は、 綱の乳母、 白妙に身を変えて綱の館に急ぎます。
白妙は言葉巧みに綱に左の腕を見せて欲しいと申し出ますが、 綱は物忌みの最中だから引き取るようにと伝え門を閉めます。諦めない白妙は妖術を使い綱の館に忍び込みました。
そして左の腕を取り返した酒呑童子は、茨木童子を呼び出して、 腕を揉みつけました。
この物音に気づいた綱は、酒呑童子と茨木童子に挑みかかりますが、妖術にかかり倒れ込みます。 そこに石清水八幡のお告げにより駆けつけた頼光の助けを得て酒呑童子と激しく戦いますが、
酒呑童子は虚空飛天の妖術をもって大江山に飛び去っていきました。
11時19分〜11時54分鐘馗津浪神楽団安芸太田町(津浪)
中国唐の時代、終南山のほとりに住んでいた鐘馗という青年が官吏の国家試験に落第して憤死
しましたが、その後及第の栄誉を受けたので感激してその霊が朝廷の守護神となり、いつしか疫病払いの神として祀られるようになったという伝説があります。
神楽では、素戔嗚尊の化身であり鐘馗大神と名乗って民の命を奪おうとする異国の疫病の悪鬼を退治するという物語です。
左手に持つ丸い輪は、悪病の払いに用いる茅の輪で姿なき鬼神をこれでとらえ、右手の剣で征伐するという意味があります。
12時01分〜12時36分猿田彦の舞比婆荒神神楽社庄原市(東城町)
①【案人】・・・猿田彦大神の由来を述べ、その神徳を称える舞である。
②【猿田彦の舞】・・・天孫降臨の際、先導をした神で、この神のあまりにも御大徳の広さから、秋月の壷において千日の毬を蹴させ給うときは毬玉の明神、商人にとりては利徳幸いの神、身体の不自由な者にとりては杖導きの神、縁辺にとりては縁結びの神、山にとりては山神、川にとりては水神、道にとりては道祖神、家内にとりてはかのえさる庚申と、勧請してみても皆この猿田彦大神を祀っています。
比婆荒神神楽では、「七座神事」(打立・曲舞・指紙・榊舞・御座舞・猿田彦の舞・神務)の中のひとつで、「所堅めの舞」ともよばれています。猿田彦の舞には、「榊猿田」と「長刀猿田」とよばれる二種類があり、大神楽では両方、小神楽では願主の希望によりどちらかを舞います。七難三災、悪魔降伏、疾病削除、諸難退散の神で、悪魔払いとともに氏子の繁栄を願い舞われます。
13時00分〜13時35分塵倫筏津神楽社北広島町(筏津)
この国に悪災を与える「塵倫」という鬼は、背中に翼を持ち、天空を自由自在に駆け巡ること
が出来ました。しかも、神通力を駆使し、戦術にも長けたこの鬼は、数万騎の軍勢を従え、庶民を大いに苦しめました。
そこで時の帝、仲哀天皇は、不思議な霊力を発揮するという弓矢を武器に、この恐るべき敵に戦いを挑んで、見事撃退するという物語です。
13時42分〜14時17分土蜘蛛琴庄神楽団北広島町(都志見)
大和の国の葛城山に、太古の昔より住み着いている土蜘蛛の精魂が、侍女胡蝶に化け、典薬の守からの使いと偽って源頼光に毒を盛ります。ついに念願を果たしたとばかりに飛びかかる土蜘蛛に必死で対抗する頼光は、「名刀髭切り丸」で斬き りつけ深手を負わせるのですが、正体を見破られた土蜘蛛の精魂は、糸を吐きながら逃げ帰ってしまいます。
源頼光は四天王を集め、土蜘蛛退治を命じますが、この時「髭切り丸」の太刀を「蜘蛛切り丸」
と改めて四天王に授けました。葛城山の岩屋についた一行は、土蜘蛛の妖術に悩まされながらも、
大激闘の末、蜘蛛切り丸をもってこれを退治するという物語です。
14時24分〜14時59分鈴鹿山王神楽団北広島町(本地)
時は延暦21年、天竺より来る第四天魔王の娘「立烏帽子」が伊勢の国の鈴鹿山に住む「大嶽丸」と共に日の本を魔国になさんと天下った。その事を知った帝は是を重くみて、時の征夷大将軍「坂上田村麻呂」に「立烏帽子」征伐の命を下す。「大嶽丸」に会う途中、毘沙門天に出会った立烏帽子は改心し、坂上田村麻呂と大嶽丸を成敗に向かったものの、大嶽丸には3本の宝刀があり、絶対的な力を保っていた。しかし、毘沙門天から授かった秘術で宝剣を奪い、激闘の末、退治する物語である。今もなお、宇治平等院には大嶽丸の頸が封印されている。
15時06分〜15時41分茨木中川戸神楽北広島町(川戸)
平安中期、京の都では毎夜一条戻橋に怪物が現れ、数々の悪行を重ね、人々は不穏な時期を過ごしていました。そこで、時の武将・源頼光は、怪物征伐のため、家臣である四天王の一人・渡辺綱を一条戻橋に向かわせます。綱は頼光より授かった名刀「髭切」の加護により、怪物の左腕を切り落としますが、惜しくもとり逃してしまいます。頼光は綱の持ち帰った怪物の左腕を、陰陽師・安倍晴明に占わせると「これより七日の内に魔性の者が必ず左腕を取り返しに来る。それまでは堅く館の門を閉ざ し、仁王経を唱え、誰も館に入れぬ事」と告げられ、綱に七日間の物忌みを命じます。そして、七日目の夜、綱の館に一人の老婆が現れます。老婆は摂津の国から来た綱の叔母「真柴」であると告げ、綱に一目会いたいと申し出ますが、綱は物忌みの最中の為会うことはできないと追い返します。しかし、執拗に懇願され、肉親の情けに負けた綱は心を許し、真柴を館へと入れてしまいます。館に入った真柴は魔性の本性を現し、左腕を取り返すと、自らを茨木童子と名乗り、虚空飛天の妖術で大江山へ飛び去って行くという物語です。
15時48分〜16時23分紅葉狩り大塚神楽団北広島町(大塚)
狩野の旅に出た平維茂は、道に迷い信州戸隠山に入り、紅葉狩の酒宴を開き待ち受ける戸隠山 の鬼女達に誘われます。酒宴の酒に酔い伏した維茂の一命 危うしとなったとき、日頃信心する八幡大菩薩が降臨し救われます。一命を救われた維茂は授かった神剣をもって めでたく鬼女を征伐します。
16時30分〜17時05分八岐大蛇栗栖神楽団廿日市市(栗栖)
出雲の国、斐伊川の川上で七人目の姫が大蛇に呑みとられました。
高天原を追われた素戔嗚尊が嘆き悲しむ足名槌、手名槌そして八人目の姫、櫛稲田姫に出会い今までの経緯を聞き大蛇退治を決意します。激闘の末、退治した大蛇の尾から一振りの剣が出てきます。
これを天叢雲剣と名付け、天照大御神に捧げる物語です。